2010年6月29日火曜日

世界を変える、ファンタジー。

ベスト4。
それは、岡田監督が掲げた、
日本代表“だけ”の目標だった。

しかし、決勝トーナメントが始まり、
ベスト4には大きな意義が生まれてきたのである。
いや、厳密に言うと肉眼で見えてきたのである。

それは、日本が自国の強さを示すということではなく
フットボールの歴史を変えるという
“ファンタジー”を紡ぐ役割を担ってしまったということ。
しかし、世界を変える“ファンタジー”は、日本だけでは紡げない。


現在決まっている準々決勝の組み合わせは、

ウルグアイ VS ガーナ
アルゼンチン VS ドイツ
ブラジル VS オランダ

そして、今夜ベスト8をかけて
日本 VS パラグアイ
スペイン VS ポルトガル

本大会の決勝トーナメントにテーマがあるとしたら
「対欧州」だ。
そのテーマのクライマックスは、準々決勝。

そこで、これまでの“違和感ある出来事”を振り返る。

なぜ、日本は大躍進したのか。
なぜ、前回大会優勝・準優勝国は、“らしくない”プレーをし、敗退したのか。
なぜ、ドイツ対イングランドで、疑惑のゴールがプレイバックしたのか。
なぜ、アルゼンチン対メキシコ戦で誤審ゴールが生まれたのか。
なぜ、スペインとポルトガルが潰し合うのか。

それは全て、
「W杯史上初の“欧州”不在のベスト4」という
ファンタジーを紡ぐためだ。

そのファンタジーの意味合いは、大きい。

南アフリカW杯は、アフリカ大陸初のW杯。
白人に支配されてきた土地で開催される史上最大スポーツの祭典である。
その舞台では、皮肉にも欧州が徹底的に排除されている。

では欧州以外、
それも本大会で“ファンタジー”を紡ぐ国とは?

かつて、ポルトガルの植民地だったブラジルと、
スペインの植民地だったアルゼンチンは、
一方は“怒れるブラジル人”が自国に規律を持ち込み、
もう一方は自国を愛する“裸の王様”を帰還させることで、
運命の担い手となった。

共通点は、“自分”たちのフットボールをしているということ。

そして、日本は・・・。

ユーゴスラビア出身のオシム前監督が病に倒れ、
日本人の岡田監督が選ばれた。
そして生まれたのが、「変則4-3-3」というフォーメーションと、
「強烈なる連帯感」である。
オシム前監督との交代劇は、
「日本人の、日本人による、日本人のフットボール」をやるために
“必然”だったのではないかとさえ思える。

そして、日本人の監督は、世界に対して宣戦布告をする。
“W杯ベスト4”

運命が、動きだした。

2010年。
この“ファンタジー”が紡がれた本大会は、
フットボールの新時代を幕明ける儀式になる。
しかし、それはフットボールの神様の単なる気まぐれかもしれない。